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「もはやデフレではない」?

日記
01 /21 2016
ご存知のように年が明けて以来、日経平均株価は継続して下落。本日の終値は 16017.26円(前日比398.93円下落)で、かろうじて1万6千円割れは免れたが、1年3か月ぶりの安値だそうである。

これは「株価上昇・円安」だけが成果?のアベノミクスにとってはゆゆしき事態で、日経電子版には以下のような記事が出ている(会員でないと冒頭しか読めないが、これだけでも十分だろう)。

円高・株安、アベノミクスに試練 野党は公的年金含み損批判

ところで、タイトルの「もはやデフレではない(状態を作りだすことができた)」というのは、ご存知の安倍首相の年頭会見での言葉なのだが、本当にそうなのだろうか? この話題について、本日は少し、経済統計の基本的な知識のおさらいもしながら考えてみたい。

デフレかインフレかを判断する指標として、「GDPデフレーター」というものがある。その定義は、

 GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP

GDPデフレーターについて(ついでに名目GDPや実質GDPについても)は、以下に分かりやすい解説がある。

名目GDPと実質GDPの違いとは?

つまりGDPデフレーターが1以下なら「デフレ」、1以上なら「インフレ」ということで、これは分かりやすい。

では、実際のところデータはどうなっているのだろう?と思って、こういう場合の統計データの宝庫?である内閣府の統計情報のページを見てみる。

統計表一覧(2015年7-9月期 2次速報値)

「国内総生産(支出側)及び各需要項目」に並んでいるエクセルデータの中で、「四半期デフレーター原系列(CSV形式:16KB)」というデータに、このGDPデフレーターの数字も示されている。

【注】このエクセルデータを見るのは結構、面倒であるし、以下にこれをグラフ化したページも示したので、読者はご自分でエクセルの表をご覧になる必要はない。

この内閣府の統計データによれば、2007年以降、昨年7-9月期に至るまで、GDPデフレーターはずっと1以下であり、これを指標とした「インフレかデフレか」の判断でいえば、現在は依然として「デフレ」であるということになる。

以下のサイトでは、このことを分かりやすくグラフ化して見せている。(記事中二つ目の「日本の名目・実質GDP」というグラフをご覧ください。)

日本は1990年代からデフレへ…日米中のGDP推移を詳しく見ていく

このサイトの記事によると、GDPデフレーターが1になるのは当初、2020年との予想だったが、その予想も現在は2025年までずれこんでいるらしい。そうだとすると、本当に「デフレから脱却」するにはまだ10年弱、待たなくてはならないことになる。

グラフを見ると分かるように、名目と実質(GDP)の差は縮まる傾向にあるので、ひいき目で見れば、現在は「デフレから脱却していく傾向にある」とは言える。

実際、以下の記事などは「デフレ/インフレ」の定義自体が違う(デフレ=物価の継続的な下落、と定義)のだが、確かに物価はあがっているので、「もはやデフレではない」という立場のようだ。

もはやデフレではない、のだが

しかし、この記事でも指摘しているように、とにかく物価をあげれば良い(インフレ・ターゲット)というわけでは全くない。金融政策だけいじって、実体経済や消費がそれについていかなければ、「悪いインフレ=スタグフレーション」になるだけで、庶民にとって良い経済政策とは言えない。

経済の話は難しいし、筆者も素人なので専門家のような分析はできないが、今はネット上に色々と便利なデータや、色んな経済知識を教えてくれるサイトがあるので、それらを活用して、今後も政権のウソにだまされないように、しっかりと批判していきたいと思う。

(2016-1-21)