ヘイトスピーチは人種差別だ

日記
01 /24 2016
川崎市で開催された「ヘイトスピーチを許さない!オール川崎市民集会」に参加してきた。会場に入りきれず、廊下にまであふれた多くの参加者の熱気に、最初から最後まで圧倒された「熱い」集会だった。

ご存知の方もおられると思うが、川崎市は人権や「多文化共生」の政策では、最も先進的な都市といわれてきた。この集会は、まさにそのような川崎市民の、「共生の街、川崎でのヘイトスピーチなど、絶対に許さない!」という強い決意と行動力を表していた。この集会を主催した「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」の取組みも、短い期間にも関わらず、賛同団体数はすでに80を超えたという。

しかし、残念ながら筆者の筆力では、この集会に集まった市民の熱い思いを伝えることなど、とてもできない。それについては後日、主催者や取材に来ていた報道関係者からの報告や報道があるとのことなので、是非、ご覧いただきたい。

筆者としては、この問題の法的な側面について、分かりやすい解説をしてくれた金哲敏(キム・チョルミン)弁護士のレジュメに基づいて、整理をしておきたいと思う。(なお、この記事では地方公共団体レベルで取り組むべき課題についてのみ論じる。金弁護士は国レベルでの基本法制定の重要性についても説明されたが、今回はそれについては、紙幅の関係上、割愛させていただきたい。)

金弁護士が最初に指摘した、そして最も重要なポイントと筆者が思うことは「ヘイトスピーチは人種差別だ」ということである。それが決定的な事実であって、ヘイトスピーチは人種差別であるがゆえに、国連の人種差別撤廃条約において、以下のように規定されているのだ。

(人種差別撤廃条約は、締結国に)
①人種差別を擁護したり支持したりしないこと、
②いかなる個人、組織による人種差別をも禁止し、終了させること、
③ヘイトスピーチを根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとること
等を義務づけている。

何故、人種差別撤廃条約がこのような義務を締結国に課しているのか。それは、人種差別が人間の尊厳と平等を否定し、人種的憎悪と差別を生み出し、拡大し、ひいてはジェノサイドにもつながっていく危険性が大きいからだ。

金弁護士は「日本ではヘイトスピーチが表現の自由との関連で論じられ、最初からボタンの掛け違えが起こっている」と指摘している。再度強調するが、ヘイトスピーチは表現の自由を云々する以前に、「人種差別」という人類レベルの悪なのだ。「差別をする自由」など、どこにもありはしない。「差別をする権利」を守る必要など、全くない。ゆえに、ヘイトスピーチは根絶するしかない。

ご存知のように、日本はこの人種差別撤廃条約を1995年に批准している。(上記の条約の文言上は「締結国」となっているが、国レベルだけでなく、地方公共団体も締結国の組織の一部として、国際法上の義務の主体となっている。条約でも「地方」当局の役割については明記されている。)にも関わらず、20年以上、何もしてこなかった結果、今日のようなヘイトスピーチが蔓延する状況を招いているのだ。

日本国憲法98条2項によれば、締結された国際条約は「誠実に遵守しなければならない」。また国際条約は、法律的には国内法よりも優位であり、法律や条例は国際条約に適合するように解釈しなければならないとのことである。ゆえに、以下の結論が導かれる。

地方公共団体は、人種差別撤廃条約に基づき、「人種差別を支持、助長せず、さらに、非難し、禁止し、終了させるべき義務」を負っている。

ご存知のように、すでに大阪市では、ヘイトスピーチへの対処に関する条例が成立した。本日の集会では、集会決議に基づき、川崎市に対して、ヘイトスピーチの根絶を実現するため、市の基本計画策定に着手し、もって「ヘイトスピーチを許さない、人権の街・川崎宣言」を行うことを要請することを決定した。このような市民の力こそ、我々の宝だ。社民党は、このような市民と共に戦い続けていく。

(2016-1-23)