「小選挙区制」は日本には不向きである

日記
02 /10 2016
本日は選挙制度の話をしたいのだが、その前に少し、株価の話を。

本日の日経平均株価終値は16,085円で前日から918円ダウン。「マイナス金利」ショックもつかの間、年頭からの下降基調は一向に止まらない。本日は何とか1万6千円割れは免れたが、この急激な下降は政府・日銀にとっても想定外だったことだろう。

日経平均株価

ちなみに上記の株価トレンド・グラフはなかなか便利で、先日は「5日間」タブを見て欲しい、と書いたが、「3か月」タブもついでに見ていただくと、実は株価は12月に入ってからじわじわと下がり始め、年頭から一気に急降下していることが良く見てとれる。株安の原因は色々あるようだが、いずれにせよ、「金融政策」だけいじってもどうにもならない、ということは明白だと思う。

閑話休題。選挙制度の話は現国会でも議論はされているが、一向に進まないという感がある。筆者の苛立ちは「定数削減」とか「一票の格差是正」といった議論にあるのではない。もっと根本的な議論を忘れていませんか? つまり「小選挙区制」のことだ。「小選挙区制」の弊害は色々と言われているが、そもそもこの選挙制度は日本の状況にあっているのか?という問題だ。(なお、以下は筆者の私見であり、社民党としての公式見解ではないことをお断りしておく。)

その問題を考えるようになったきっかけは、ある市民大学でイギリスの選挙制度に詳しい先生の話を聞いてからだ。イギリスは小選挙区制度のモデルのような国で、最近こそ多党化しているが、伝統的に二大政党が交互に政権を担ってきた。何故、イギリスで小選挙区制が機能してきたか。それは実は、「イギリスが厳然たる階級社会である」ことに原因がある、というのだ。

つまりイギリスでは、選挙区ごとに「ここは労働党」「ここは保守党」とはっきり分かれている。階級が違えば、住んでいる地域も違うのだ!だから「労働党」の選挙区では誰が候補者になっても労働党が勝ち、「保守党」の選挙区でもそれは同じ。なので、いわゆる「落下傘候補」がとても多いという。「人で選ぶ」のではなく、「政策で選ぶ」ので、自分の支持政党の候補者であれば、極端にいえば「誰でも良い」ということだ。

ひるがえって日本の地域社会の状況はどうか。幸か不幸か、日本ではそこまで「階級」によって住む場所が違う、という社会にはならなかった。(逆にそのために、「階級意識」そのものが薄いということも言えるだろう。)つまり、日本では一定の地域に、富めるものも貧しいものも、一緒に混じり合って住んでいるのだ。そういう状況下では必然的に、力のある者が議席を総取りし、少数派の票はほとんどが死票になる、という結果になるだろう。つまり、「小選挙区制」は日本の社会には「最も適さない」選挙制度なのだ、と言える。これでは民主主義の原則である「少数意見への配慮」が機能しなくなってしまうからだ。

以上の議論から、日本社会に最も適した選挙制度は明らかだ。つまり、100%比例代表制だ。(スウェーデン・デンマーク・ノルウェーなど北欧諸国がそのモデル。)

最も極端な考え方をすれば、全国区のみ、比例代表のみ、という制度が考えられる。これであれば、原理的に(議席に足りず切り捨てになる票は別として)死票が出ない。しかしすべて全国区だと、全国的に知名度のある候補者しか当選しないことになるので、筆者の私見では、県レベルで一比例ブロックとする「地方ブロック選出」と併用すれば良いのではないかと思う。(今の複数県にまたがる「地方ブロック比例」は逆に不自然なので、「県単位のブロック」に統一する方が良いと思う。)

現在、神奈川県は18の選挙区に分かれている。そもそも、国政レベルの仕事をする議員を選ぶのに、何故こんなに細かく分ける必要があるのか。昔ならともかく、交通機関や通信手段が発達した現在(さらにネットのように、全国にだって発信できるツールもそろっているのだから)、候補者の行動範囲として、一つの県内というのは全く無理があるとは思えない。

さらにこれも極論かもしれないが、衆議院をこのように「比例側」にシフトするなら、参議院はいっそ「全国比例」だけにする、という案も考えられる。「良識の府」である参議院は、例えば全国的に活動する知識人や学者、社会活動家などで構成するのが良い、という考え方もできる(そもそも、参議院で「地域代表」の意味があるのか?と考えてみれば、納得ができるのではないか)。参議院はよりグローバルに(といっても日本国内のことだが)、衆議院はそれより少しローカル色も入れて、というのが基本的な考え方だ。

ちなみに近年の社民党の比例得票率は約2%だが、これは衆参とも100%単純比例制ならば議員数14人(端数切捨て)に相当する。(現在の衆参議員総数は717人なので、その2%は14人)。小選挙区制がいかに少数政党に不利かが分かる。

ともあれ、これだけ交通や情報通信の発達した現代、選挙制度をこのように根底的に見直すこともありではないか、と筆者は思っている。

(2016-2-9)