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高木仁三郎さんとプルトニウム問題

日記
02 /19 2016
最近、プルトニウム問題について少し調べる必要があって、いろんな本を読んでいる。それらの本の中に、高木仁三郎さんの「原子力神話からの解放-日本を滅ぼす九つの呪縛」(2000年、光文社カッパブックス)があった。10数年ぶりに読み直したのだが、驚いたことに、その内容は2016年の現在でも、全く古くなっていなかった。今でも、いや今こそ、広く読まれるべき名著だと思う。

この本は1999年に起こった「東海村JCO臨界事故」を受けて書かれたもの。私が持っているのは2000年刊のカッパブックスだが、その帯には「このままでは、ふたたび巨大事故が起きる!」と書かれている。不幸にも、高木さんの警告通り、2011年、東電福島第一原発の事故が起こってしまった。

東海村JCO 臨界事故

カッパブックスは2005年を最後にその歴史を終えたようだが、アマゾンで調べてみると、この高木さんの本は、現在では講談社から文庫化されて出ている。

原子力神話からの解放 -日本を滅ぼす九つの呪縛 (講談社+α文庫)

ご存知のように、原発の使用済み核燃料から再処理により抽出されるプルトニウムは核兵器製造原料なので、その製造や所有は国際的に厳しく制限されている。日本はプルトニウムを高速増殖炉で使う「核燃料サイクル」を前提にプルトニウムの所有や再処理が認められてきたが、その肝心の高速増殖炉は全く稼働の見込みがなく、「核燃料サイクル」は今や、完全に破綻している。

再処理の方は(未だに完成していない)六ヶ所村再処理工場で行う、という計画なのだが、これも遅れに遅れて、現在の予定は2018年度上期に完工という予定になっているらしい。これだけ先がないプロジェクトはいい加減にやめればよさそうなものだが、どうしても「核燃料サイクルは失敗だった」と認めたくないのだろう。

核燃料サイクルに見込みがないにも関わらず日本は、再処理をイギリスやフランスなどに依頼して、長年にわたりプルトニウムを「ため込んできた」。この高木さんの本が書かれた時点では余剰プルトニウムは約30トン、長崎型原爆で約4000発分と言われていたが、2016年現在では約48トン、同じ計算をすれば約6400発分まで増加している。米国は、核兵器削減のために核弾頭を解体して、余剰になったプルトニウムの処分に困っているようだが、その量が約50トンらしいから、それにほぼ匹敵する。

あまり報道されないが、これだけの(潜在的に核兵器を作るために使うことのできる)プルトニウムを所有している日本は、世界の目からは「潜在的核保有国」とみなされている。たとえ日本が核兵器を作る意図がないとしても、プルトニウムから核兵器を作るのは、それほど高度な技術力を持っていない国でも可能であり、国外に流出すれば大変な問題になる。日本ではプルトニウム保管場所の警備体制も不十分であると言われていることもあり、日本のプルトニウムは、国際的な核セキュリティ上の大きな問題となっている。

六ヶ所村の再処理工場がフルに本格稼働すれば、年間8トンのプルトニウムが新たに生み出されるという。「核燃料サイクル」が完全に破綻した以上、危険なプルトニウムを生み出し続ける再処理事業からは即時、撤退するべきである。

(2016-2-19)