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参院選の争点-憲法改正「自衛隊明記の意味」

政策
07 /08 2019
先ほど配信されたばかりの「産経FNN合同調査」によると、今回の参院選の最大の争点は「年金など社会保障(40%)」で、安倍首相の「議論をする政党を選ぶか、しない政党を選ぶかの選挙だ」という意気込みとは裏腹に「憲法改正」については7.1%で関心の順位としては4位にとどまっているらしい。

【産経FNN合同調査】参院選有権者の関心は年金4割 憲法改正は4番目

これまで、このブログでも主に消費税や年金の問題について書いてきたが、本日は「憲法改正」について書いてみたい。「安倍改憲」に反対する私たちが持つ共通の危機感は、たとえ今回の参院選で改憲勢力が2/3を割ったとしても、選挙後は野党の一部を取り込んで改憲発議に持ち込むという、強引な(ワイルドな)改憲策動も予想される、というところにある。

従って、参院選後に改憲勢力が取り得る、あらゆる可能性に対して、憲法を護る側は隊形を整えておく必要があると思う。精力的に続けられている「安倍改憲NO!憲法を活かす全国統一署名」の活動は、そのための強力な手段の一つだ。

今朝のテレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」では、憲法学者の木村草太さんをゲストに招いて、参院選の重要な争点として、この「憲法改正問題」を取り上げていた。昨今では選挙中に、このような「全面対決」的なテーマについて(政権に忖度して)あまり取り上げない傾向があるように思うが、今朝のこの議論は、とても良いものだった。

コメンテーターの玉川徹氏は「安倍首相がこれまで挙げてきた改正の理由は、『お父さんの仕事は違憲なの』と子供が泣いたとか、いわば「感傷的」な理由ばかりで、こんな理由で「法律の法律(つまり、憲法に反する法律は作ることができないから)」である憲法を変える、などというのは大変に怖いことだ、という。

憲法のそのような性格(「法律の法律」である以上、その扱いは、法律的に徹底的に厳格・論理的であるべき)を考えれば、理性的な議論を通じてしか、憲法を変えるべきではないし、本当に合理的な改正の理由がなければ、憲法改正などやってはいけない、と。

全くその通りだと思う。そもそも、今すぐに憲法改正をしなければならないような政治課題など、存在してはいない。だからこそ、世論調査をすれば過半数は「憲法改正の必要はない」という結果になるのだ。

そんな状況にも関わらず憲法改正をしたい、というのが安倍首相の欲望なのだろうが、そうだとしたらとんでもないことだ。憲法は安倍首相の私物ではない。安倍首相個人の欲望で、憲法を変えることは許されない。国民的な熟議の上、憲法を変えることが出来るのは、私たち主権者のみだ。

改憲の問題については、論じるべきことは多くあるが、本日は「自衛隊明記の意味」について考えたい。

安倍首相は「憲法に自衛隊を書き込んでも、何も変わらない」というが、それは真っ赤なウソだ。いわゆる「自衛隊条項」を追加することで、法律の「後法優先」原則により、追加された条項が優先されれば現在の第一項・二項は実質的に無力化されてしまう、ということも重要な点だが、もう一つ、憲法に明示的に「自衛隊」と書き込むこと自体に、あまりその点については議論されていないように思うが、実は重要な意味がある。

憲法9条第一項・二項により、日本は「軍隊は持てない」ということになっている。では、自衛隊とはどういう組織なのか。憲法上は、自衛隊は防衛省下の行政組織の一つにすぎず、警察や消防などが憲法に明記されていないのと同様に、行政組織が具体的にどのように構成されているか、といったことは憲法には書かないから、当然「自衛隊」という言葉は憲法には出てこない。

逆に、現在、憲法に明記されている国の機関には何があるかというと、国会、内閣、裁判所、そして会計検査院。この4つだけだ。もし自衛隊を憲法に明記するなら、現在、憲法に明記されているこれらの機関と同等な、「第5の国家機関」と位置付けることになる。重要度がまるで違ってくるのだ。

例えば、第2の基地県神奈川では、長年にわたって米軍や自衛隊の基地がもたらす爆音の防止を求めてたたかってきた市民運動の歴史があり、第四次厚木基地爆音訴訟では、自衛隊の夜間飛行差し止めなどの成果もあげてきた。しかし、自衛隊が憲法に書き込まれ、「第5の国家機関」となれば、「憲法に書いてある重要な国家機関なのだから、多少うるさくても住民は我慢しろ」といったことになりかねない。

また、安倍政権になってから以後、防衛費も右肩上がりで昨年はついに5兆4千億円を超えた。自衛隊が憲法に明記されれば、同じように「憲法に書いてあるのだから」という理由で、ますます防衛費が増大していく、ということになりかねない。防衛費が増大した分、当然に私たちの生活を守るための福祉に使われる予算は減らされていくだろう。

「自衛隊を憲法に明記する」ことの法的な問題点の議論は色んな観点からされるべきだが、筆者は厳密に法的な観点からだけでなく、「憲法に書いてあるのだから。。。」という「空気」が、現在の憲法の大切な基本理念である「平和主義」を、意識されないままに無力化していくことにも、恐怖を覚えざるを得ない。

「ゆでガエル」と良く言われるが、何かが変わっていっていることに気が付かないうちに、実はとんでもないことになっていた、という愚かな選択だけは、しないようにしようではないか。「おかしい」と思ったら、みんなでもっと声を上げよう。「おかしい」と思ったら、それに気づき、反対することを表明している候補者に投票して、政治を変えよう。

(2019年7月8日)