日本は世界の孤児になるのか?

 間近に迫ったソチ冬季オリンピックだが、ロシアの人権問題に抗議して各国の首脳の開会式欠席の意向表明が続出する中、安倍首相は出席の予定。「人権問題で日本の国際イメージ低下は避けられない」と2月4日の東京新聞「こちら特報部」は伝えている。

 これに限らず、先の「靖国参拝」では「同盟国」アメリカからさえも公式に「失望」を表明されるなど、安倍政権に対する国外からの目は厳しい。東京新聞の同記事によれば「米国議会の報告書には『強硬な国家主義者』、『米国の利害を損なう恐れがある』などと書かれている」という。安倍政権が米国内でさえ、そこまで危険視されているというのは多くの人にとっては意外かもしれない。

 現政権では特にそれが目立ってきたとはいえ、このような日本の「国際人権基準とのずれ」は安倍政権に始まったことではない。「女性差別撤廃条約」や「こどもの権利条約」をはじめとする多くの国連人権条約を日本は批准しているが、それらの条約が要求している国内の人権侵害状況の改善を促す国連人権諸機関からの「勧告」については、長年にわたって実際上「無視」を決め込んできた。昨年の6月には、「国際条約機関からの勧告には法的拘束力がなく、履行義務はない」との閣議決定まで行った。これは条約と勧告の本質を全く理解していない、本末転倒の議論としか言いようがない。

 国際条約の法的拘束力に関していえば、憲法(98条)で「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とあるのを見れば、国際条約にも国内法に比するべき一定の拘束力があると考えるべきだろう。先に「婚外子差別」に関して最高裁が「違憲」との判断を下したのも、「こどもの権利条約」などの法的拘束力を認めた上での判決であろう。国際条約はこのように「法的拘束力」を持つものであって、国際条約機関からの「勧告」はその拘束力を発揮させるための手段なのだ。

 しかしながら、日本政府は国連機関が何度勧告しても、具体的な改善行動を取ることはこれまでに全くなく、「全く改善する気がない」「やる気がない」と国際的に見られてしまっている。すでに2008年10月16日の国連人権高等弁務官事務所ニュースで、「以前からの総括所見にほとんんど効果がなく、委員が同じ勧告を繰り返し出さざるを得ない事態が続いているのは極めて残念である」という強い非難が出されている(出典:週刊「金曜日」1月24日号)。

 このような状況が続くなら、日本は人権問題における「世界の孤児」になってしまうのではないか?と危惧せざるを得ない。昨年、日本は国連社会権規約委員会などから、70項目にもおよぶ人権状況の改善勧告を受けている。先月の25日には、このような状況に危機感を抱く国内人権諸団体により「国連・人権勧告の実現を!1・25集会」が東京・代々木公園で開かれ、約600名が「政府は国連人権勧告を放置するな!」と声をあげた。

 国際的にみればこのように嘆かわしい状態なのだが、この問題が日本国内でなかなか一般に注目されないのは何故なのか。ひとつには「新聞をはじめとするマスメディアがその状況を正しく伝えていない」からだろう。憲法前文に書かれているように、日本が「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」と思うなら、この国際人権基準の問題は避けて通れない。世界第3の「経済大国」でありながら、国際的には「人権後進国」と見られている日本。その状況を変えていくために、メディアの果たすべき役割は大きい。またもちろんメディアだけでなく、我々個人個人も、この問題について考え、声を上げ続けていかなくてはならないのだと思う。

(2014-2-5 by 山猫軒)


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