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憲法についての世論調査

日記
05 /03 2014
 毎年、憲法記念日が近づくと、各社とも憲法に関連した世論調査を発表する。ネット上で見ることができる世論調査の例として、東京新聞とNHKのものを見てみよう。

 東京新聞の世論調査
 NHKの世論調査

 「憲法9条は変えない方が良い」は、東京新聞の調査での62%に対してNHKの調査では38%。これを見て、どうしてこんなに違うのか? そもそも世論調査なんて信頼できるのか? と思うかもしれない。

 「新聞やTVなど報道機関によって世論調査の結果が違うのは、それぞれのメディアの購読者や視聴者が元々偏っているからではないのか?」と考えたりする人がときどきいるが、少なくとも「まともな」世論調査はちゃんとした統計的な理論に基づいて実施されていて、もちろん調査の対象はそのメディアの購読者ではなく、全国の有権者をランダムにサンプリングして行われているはずである(RDDと呼ばれている、無作為に発生させた電話番号で調査対象を選ぶのは、そのランダムサンプリングの一手法である)。

 世論調査に詳しい専門家によると、こういう違いが出てくるのは多くの場合、設問の順番や組み合わせ方、質問そのものの文章の違いによるらしい。(統計調査の方法自体が間違っているわけではない。)

 「質問の仕方で異なる結果が出てくる」好例が、まさにNHKの世論調査の選択肢にある。NHKの調査では「どちらともいえない」という選択肢が常にあって、実はこれが「多数派」であることが多い。こういう選択肢を設ければ、結果が曖昧(要するに「最大多数の人たちは賛成でも反対でもない」ということだから。)になってしまうことは否めない。

 この「どちらともいえない」という選択肢は、何か「自分では(自主的に)判断できない」という人が多いことを前提としているようで、私などこんな質問をされたら「私を馬鹿にしているのか?」と腹を立てそうだが、これは余談。

 このような質問の選択肢を設定する場合、賛成なのか反対なのか分からない「どちらともいえない」ではなくて、「どちらかといえば賛成」「どちらかといえば反対」という選択肢を設け、「賛成」「反対」と合わせて4択にするのがより自然な質問方法だと考えられる。

 NHKの調査でこの「9条改正に賛成か反対か」の質問に対し、この「どちらでもない」という回答は32%だった。確率的に考えて、この半分が単純に「どちらかといえば反対」だったとしよう。そうすると「反対」と「どちらかといえば反対」を含めた「9条改正に反対」のパーセンテージは38+16=54%となり、東京新聞の調査結果とかなり近くなってくる。これが、「質問の設定方法などにより結果が変わる」カラクリの一端である。

 いずれにしろ、そういった事情があるので、絶対的な数字としては調査機関によって幅があるものと考えた方が良いのだが、ここで挙げた二つの調査の例で最も注目すべき重要なことは、「いずれの調査でも、以前の調査結果よりも『改正反対』が増えている」という事実だ。(NHKの方は説明の文章にそれが書かれておらず不親切なのだが、埋め込まれた動画を再生して見ていただくと分かると思う。)

 これこそ、我々市民や多くの学者たちが「自民党の憲法改正案はおかしい!」「集団的自衛権なんてとんでもない!」「安倍政権の解釈改憲は許さない!」「『戦争のできる国』にするな!」と声を上げ続けてきた成果ではないだろうか。

 自民党の憲法改正案の危険性(なかでも特に「立憲主義の破壊」という側面)を我々が訴え始めた頃は、「立憲主義」という言葉そのものや、「憲法は国民を縛るものではなく、権力を縛るもの」という考え方などは、現在ほど一般的に理解されてはいなかったように思う。世論調査に見られる変化は、多様な運動を通じて、この問題に対する多くの人の理解が深まった結果だろう。

 平和と民主主義を守ろうとする勢力は今、戦後最大の危機に立たされているが、あきらめずに声をあげ続ければ、世論も変えていくことができるのだ。これからも頑張ろう!

(2014-5-3 by 山猫軒)