都市に棲むカワセミ

日記
08 /03 2014
 一瞬だった。
 川に飛び込み獲物をくわえ護岸に戻り、跳ねる魚を飲み込んだ。そう、滅多にない光景、飛ぶ宝石といわれるカワセミの行動を目の当たりにした。

 気付いたのは4年ほど前、川沿いに歩きながら何気に眺めていると、護岸から川面をじっと見ている小さな鳥、図鑑で見たカワセミに似ている、そっと、近づき確かめると「やっぱり」そうだ。ちょっと、うれしくて、みんなに話したいのを抑えた。人がカワセミ見たさに領域を侵し、やって来なくなるのを心配した。瑠璃色の羽、オレンジ色の腹が美しく、その姿に魅了されるのは無理からぬこと。川面すれすれに飛ぶのを誰もが観たいという心情を、理解はする。

 ここ藤沢は、市の鳥にカワセミを指定している。
 我が家は下流域、かって清流に住むといわれたカワセミが生きる術を身につけ、街中でたくましく生き延びていることに驚嘆する。聖地の清流を奪ったのは人なのだから、共存の道を用意しよう。藤沢の街中を流れる境川は、鉄柵とコンクリート護岸、ぎりぎりまで住宅がひしめいている。洪水対策なのだが、何とも味気ない風景。そんな環境にいるカワセミの存在は新鮮、感動も二倍となる。我が家の裏手は、高台に団地、取り囲む急傾斜面に雑木林が帯状に続き、うぐいすが鳴くなど、ほんの少し自然環境が残り、カワセミにとって安心の居場所かも知れない。

 以来、注意深く、川の周辺を見回すようになった。
 時折、望遠のカメラを持った男性に出くわす。もしかしたらカワセミを追っているのではと想像したが、言葉を交わすことはしなかった。
 社会新報配布の合間、観察し始めて、間近にカワセミの捕食ポイントとおぼしき処を2カ所見つけた。いつもせわしなく活動に明け暮れる私へ「神さまのプレゼントかな」と密かに喜んだ。じっくりと観察する時間を持てず、その中で、二度も捕食の瞬間に出くわしたのは、幸運だ。
 カワセミをもっとよく観ようと通販で双眼鏡まで買ったが、やはり安いのは拡大幅が小さく役に立たず、素早く飛ぶ姿を追うのは至難の業、ドジを踏んだ。

 実は、カワセミ観察、密かな楽しみが遠のいている。
 梅雨時の大雨が影響し、川の流れが変化、カワセミの捕食ポイントに砂利が堆積、餌捕りが出来なくなった。
 今頃、カワセミは適切な捕食ポイント探しで大忙しなのだろうか。

 私は、この夏、カワセミが元気に飛ぶ姿を探す日々が続く。

かわせみ

(2014-8-3 by 湘南のおてもやん 木村えい子)